弊塾では、教室での対面指導だけでなく、全国の聞こえない子どもたちを対象としたオンラインでの個人指導も行っています。
これまでにも、北海道や神奈川県、埼玉県など、さまざまな地域にお住まいの塾生と画面越しにつながりながら、日本語と言葉の力を育む学習を続けてきました。
オンライン指導では、主にドリル教材「論理エンジン」を使用しています。
この教材は、日本語の力だけでなく、論理的思考力の向上にも対応しており、視覚的にも整理されています。これは視覚的な情報の方が処理しやすい聴覚障害児にとって、非常に親和性の高い教材です。
実際の授業では、まず塾生に問題文を読んでもらい、その内容をどの程度理解できているかを確かめるところから始まります。文字としては読めていても、ことばの意味が理解できていない場合は、日本語と手話を行き来しながら、ことばの意味理解がしっかりされているよう、ゆっくりていねいに説明します。
問題文の意味理解が確認できたら、次は実際に問題を解いていきます。
わからないところで手が止まってしまったときや、誤答が続くときなど、塾生の様子によっては、その都度確認し、一緒にネットで調べることもあります。ただ「答えを教える」のではなく、「なぜ、そうなるのか?」を理解できるような発問や手がかりを示すことが大事です。
また、答えを書くことができたときに、それで終わりにするのではなく、塾生の経験と結びつけて考えを深めるような発問や講師の経験を交えた雑談も塾生の学習意欲の維持につながります。
こうしたオンライン指導だけでなく、他の場面でも見られますが、聴覚障害児の課題は、たとえば、文字に対して音読はできていても、いざ手話で説明しようとすると手話単語が違っていたり、指文字ばかりが増えてしまったりすることもあります。
また、手話単語そのものは合っていても、日本語の語順をそのままなぞった表現になってしまい、文章全体の意味として十分整理されていない場合も見られます。
こういうときは、一旦、日本語から離れて、手話でしっかりイメージを持たせてから、日本語への意味理解につなげていくような指導を行っています。
さらに、問題の答えを手話で説明することはできても、それを文章として書くことが難しい塾生も少なくありません。頭の中にはちゃんとイメージがあり、手話では流暢に語れるのに、いざ「文章にしてみよう」となると鉛筆が止まってしまうのです。そのような場合は、「まずはこの一文だけ書いてみよう」「キーワードを先に並べてみよう」など、文章化へのスモールステップを設定したり、必要に応じてネットで言葉の使い方を調べたりしています。
このように、毎回の授業では、塾生たちが学習の見通しをもって安心して取り組めることを大切にしながら、視覚的な手がかりを最大限に活用し、深く考える時間を保障することを意識しています。また、オンライン指導には、対面指導とは違い、全国どこでも好きな場所で授業を受けられるといったメリットがあります。
シコウカは、ろう学校で大切にされている学びの質を、校外の環境でも保障できるよう努めています。
興味のある方は、ぜひ体験してみてください。
※画像は教材『論理エンジン』(水王舎)より引用
全国どこでも安心して学べるオンライン指導

