言語技術

シコウカの由来としても使われている「思考力」。
思考力を深める活動の一つとして、事柄について論理的に考えたり、対話したりする言語活動はとても重要です。
日本の国語科で指導される内容は、いわゆる言語の四機能と呼ばれる「読む・書く・聞く・話す」と「考える」であるとされ、それらが総合的に指導されることになっていますが、考えて話したり、書いたりするために必要な手立てとして、つくば言語技術教育研究所所長の三森ゆりか氏は次のように述べています。

「言語技術の習得が大事であり、そのためには他者と議論し、その結果、考えたことを作文にまとめる作業の繰り返しが重要です。」

また、自然に楽しみながら、ものの考え方や表現の方法を身につけることも大事だそうです。
言語技術とは、情報を主体的に獲得し、自分の考えを組み立てて、分かりやすく発信するための「聞く」「読む」「話す」「書く」に関する技術を意味します。
これは論理的思考力にも共通すると思います。
三森氏によると、言語技術の基本を身につけるためには、「論証」「物語」「説明」「描写」「報告」「視点を変える」「絵の分析」の7つの項目で、それぞれの力をしっかり育てることが必要だと述べています。
ここでは、「絵の分析」について詳述します。
対象となる絵を子どもと一緒に観察する中で、子どもが絵をどのように捉えているのか、絵の中にある理由を発見したり、自分の体験を想起したりしながら分析的に考えることが目的になります。
一つ、事例をあげましょう。

イラスト「公園」

引用:綿野 香(編集), 鳥居 千登勢(編集), 小山 久実(編集)『言語聴覚士が作った思わず話したくなるイラストBOOK ~ことば・コミュニケーションを育む~』三輪書店、2021年

先述の子どもの捉えを引き出すための具体的な問いかけをします。
「ここはどこかな?」
「何時だと思う?何故、そう思うの?」
「みんなは何をしてるかな?」
「【だるまさんがころんだ】←この遊びの約束は何だろう?」
「【砂場】←男の子が何かを運んでるね?何かな?何のために?」
「水やりをしている女の子たちはどんな話をしてると思う?」
「先生の顔はどんな顔?どうしてそう思うの? 」

絵の中に答えはありますが、一つではなく、複数ありますので、もし、想定外の答えが出たとしても、肯定的に受け止めた上で、理由を聞くと良いでしょう。
これは日常生活場面でも言語技術を育てることができます。例えば、学校帰りに見かけたお店について、「あの店は何を売っているのだろう?」「どうしてそう思ったの?」と、対話することもできます。

自分が興味・関心をもった事物をしっかりと観察する練習、そして、観察の後に自分がなぜそのように捉えるのか、事物の中に理由を発見しながら分析的に考える練習をします。事物の中にある理由を発見するためには、事物をしっかりと観察する必要があります。

参考文献
・三森ゆりか『子どものための論理トレーニング・プリント』PHP研究所、2005年





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