きこえる人は何をすべきか?〜一橋大学にて〜

一橋大学の研究科グローバル・リーダーズ・プログラムの一環として設けられた学生の主体性に基づく「特別レクチャーシリーズ」の企画に、光栄にもお声掛けいただき、先日12月9日にオンラインでお話をしました。講師は大学教授や飲食店勤務のろう者、そして私の3人でした。

私からは、日本語との違いにおける手話の言語学的特性やろう学校の専門教育など、その分野の前提となる基礎的知識の共有を図りました。
そして、この企画のメインテーマである「きこえない人ときこえる人のコミュニケーション」について、以下の3点をお話しました。
・昔のろう教育の考え方は「聞こえる人に合わせる」として、聴覚活用、発話、読話だったが、今の考え方は「自分への関わり方を伝える」として、手話、筆談、音声認識アプリの活用が大事であること。
(詳しくは過去のblogをご覧ください。https://shikouka.site/treatment/kyouiku/
・きこえない人は相手の手指ではなく、顔を見てコミュニケーションをとっている。なので、手指だけでなく、表情も意識するとより伝わりやすくなる。
・社会モデル的な意味(個人モデルではない)でコミュニケーションに障害のあるきこえない人が、きこえる人たちの中で食べるごはんは果たしておいしく感じるのだろうか?と、問いをもってみること。

3つ目については、ちょっと抽象的ですが、きこえる人たちにはぜひ、きこえない人たちの中に入ってごはんを食べてみてほしいということです。ごはんに限らず、きこえない人の世界の中で行動してみることで、きこえない人への関わり方が見えてくるのではと思うのです。

他の講師の方は共生社会のあり方やろう者としての言語観、大学の情報保障システムなどをお話していただき、私にとっても貴重なお話を多く聞くことができました。
進行担当の学生さんの上手な進行のおかげもあり、終始和やかな雰囲気で実りのある企画となりました。このような機会を与えていただいた一橋大学に感謝です。

関連記事