聞こえない子どもの日本語習得

私は18年位前にろう学校教員として採用されて以来、二言語に向き合ってきています。
まず、聞こえない子どもは、乳幼児期からきちんと手話による環境作りに努めていけば、伸び伸びと手話を獲得することができます。
と、簡潔に書きましたが実際はかなりの専門性を必要とします。
詳しくはまた後日書きたいと思います。

一方、日本語の場合は、人工内耳の普及によってある程度音声日本語を聞いたり、話したりすることができる子どもが増えてきたように思われますが、そのことが確かな読み書きの力に結びつくとは限りません。
それは話すことも聞くこともできる聞こえる子どもが全員読み書きの力が必ずしも身につくとは限らないことからも至極当然でしょう。
ですので、読み書きの力の土台作りはもちろん、日常生活の中で意図的にしっかりと言語指導・言語活動をする必要があり、そのための手段を多く身につけておくことが大事です。
具体的には「インタラクションし、こね回す」や「ユニット方式でインプットする」「手話を日本語に丹念に組み込むこと」などがありますが、今回はインタラクションについて綴ろうかなと思います。
インタラクションとは、言葉を通して意味のあるやりとりによって意思伝達や情報交換をするという意味です。
弊塾の「ロジカルシコウ科」では、手話を中心にインタラクションをしていますが、日本語習得をねらいとしている場合、子どもの言語力に応じて意味の確認をしたり、発問したりしています。
また、手話のみのやりとりで終わらないように要所要所で子どもにとって理解可能な指文字や口形を使って視覚的な日本語をインプットしています。
もちろんインプットだけでなく、日本語模倣として指文字によるアウトプットもさせています。
全体として手話を中心とした言葉のこね回し(指文字、口形、文字など)を弊塾だけでなく、ご家庭でもコツコツと続けていくことが大事です。

もう一つ、インタラクションの中で必要に応じて「i+1(アイ・プラスワン)」のインプットをすることも重要で、「i」は現状のレベルを指します。
つまり、少しレベルを上げた言葉のインプットをすることも大切で、例えば子どもが単語のみで発言した場合、そこに+1として2語文で言い直しするように「i+1」のレベルに調整します。
これは拡充模倣とも言われており、他にも音韻レベルや語彙レベル、統語レベルなど、子どもの言語力に応じて必要な「i+1」のインプットをしたり、アウトプットをさせたりしています。

このように「i+1」を含めたインタラクションを豊かにしたり、コツコツと言葉のこね回しをしたりする言語指導・言語活動は、聞こえない子どもの言語の変形活動の促進につながりますし、それは聴覚障害教育の真髄とも言われています。

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