難聴児発達の早期支援体制

先日、ろう・難聴教育研究会より難聴児発達の早期支援体制に関する情報提供がありました。
ろう教育に関わっている人にとってはとても大事な情報ですので、
その研究会の事務局長から許可をいただいた上でシェアします。

●現在、文科省と厚労省が合同で難聴児発達の早期支援体制の確保に向けて動いています。
国の動きとしてはいよいよ大詰めで「検討会」が自治体向けの指針を出すことになっています。
その指針に従って2023年末までに全国の自治体が「難聴児発達早期支援体制」を作るようスケジュールされています。
(令和五年度末までに、各都道府県において、児童発達支援センター、特別支援学校(聴覚障害)等の連携強化を図る等、難聴児支援のための中核的機能を有する体制を確保することを基本とする。(令和二年厚生労働省告示第二百十三号))というわけです。

●「人工内耳の早期装用で聞こえるようになる、手話は必要ない、ろう学校に通わなくてもよい。」
このように信じ込む耳鼻科医や保護者が少なくありません。
このような考え方で「難聴児発達早期支援体制」が「早期人工内耳装用児支援体制」になってしまってはいけません。

●きこえないきこえにくい子が100%のコミを楽しめる手話やその働きで仲間と学び合えるろう学校が今後も重要だと考えます。

●難聴乳幼児支援は、ろう学校、難聴児を対象とする児童発達支援センター(旧難聴幼児通園施設)や児童発達支援事業所が担います。
ろう学校の乳幼児教育相談の担当者にとって、今後の乳相の充実化のための改善案、具体案を自治体に要望していくことが求められています。
従来は声をあげてもあげても無駄に終わりましたがやっと自治体が動かざるを得ない状況になりました。
要望を自治体にどんどんぶつけていくようにしたいものです。

●現場に一番欠けているものは人材だと思います。
0~2歳の難聴乳幼児については、保育もでき、音声や手話のコミ支援もできてという育児言語支援の専門性を兼ね備えた担当者がどれだけいるでしょうか。
誰もが未経験でオールマイティでもない。保護者、教員、ST、保育士、医師、看護師、ろう者相談員、手話通訳士、コーディネーター、その他、0~2歳の難聴乳幼児に関わる誰もが専門性や経験不足に頭を抱え悲鳴を上げている、それが今の現場の多くの姿ではないでしょうか。

他にも要望がたくさんありそうです。ともに考えていきたいと思います。
以下は、こんなことを考えるための資料になるかと思います。

国総研の【受講者限定】令和3年度難聴児の切れ目ない支援体制構築と更なる支援の推進に向けた地区別研究協議会の資料が以下から入手できます。
1月10日までがオンデマンド講義等の視聴機関となっており、お申込みいただき資料など閲覧いただければと思います。

昨年度の研修事業
http://www.nise.go.jp/nc/study/others/disability_list/hearing/package

地区別協議会は、次年度も開催が決まっています。


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